修士論文一覧
商学専攻
2021年度
2019年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
中国における新たな生鮮小売業の展開
ー永輝超市(Yonghui supermarket)の事例を中心にー |
要旨 |
矢野泉 |
2018年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
多国籍銀行に関する国際間競争力 |
要旨 |
川本明人 |
地方都市における中央卸売市場の存在意義
ー広島市を事例としてー |
要旨 |
矢野泉 |
2017年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
人民元の国際化についての研究 |
要旨 |
川本明人 |
中国における中小企業資金調達の現状と課題 |
要旨 |
川本明人 |
2016年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
日本メガバンクの海外戦略
ーアジアを中心にー |
要旨 |
川本明人 |
経営学専攻
2023年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
研究開発費の会計処理に係る一考察
-資産化についての検討- |
要旨 |
井奈波晃 |
ものづくり企業における戦略的人的資源管理
-経営理念の浸透から人材の選抜・評価・処遇まで- |
要旨 |
木村弘 |
2022年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
減損会計における回収可能価額の妥当性
-棚卸資産評価会計との整合性からの検証- |
要旨 |
山﨑敦俊 |
償却性資産という特質からみたリース会計基準のあり方に関する考察 |
要旨 |
山﨑敦俊 |
リース会計における借手の会計処理に関する一考察
-オペレーティング・リース取引のオンバランス化と事後測定を中心に- |
要旨 |
山﨑敦俊 |
中国における人的資源管理の現状と課題
-ホワイトカラー労働を中心に- |
要旨 |
米田邦彦 |
2021年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
日系コンビニエンス・ストアの中国進出戦略
ーセブン-イレブンを中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
化粧品企業の国際競争戦略に関する研究
ー中国における資生堂のマーケティング戦略を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
自動車産業のEV化に関する研究
ー完成車メーカー及び自動車部品メーカーを中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
有形固定資産の減損と減価償却についての一考察
ー固定資産のライフサイクルと会計的整合性の検証ー |
要旨 |
山崎敦俊 |
競争優位における活動基準原価計算についての一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
2020年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
中国における日系企業の人的資源管理
ー人材の現地化を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
日本におけるポイント会計処理の現状と課題 |
要旨 |
政岡孝宏 |
のれんの事後的な会計処理に関する考察
ーのれんの本質と自己創設のれんを中心にー |
要旨 |
山崎敦俊 |
2019年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
中国における日系企業の経営現地化
ーユニクロを中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
病院原価計算に関する一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
収益認識基準からみる負債性引当金の一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
退職給付会計に関する一考察
ー米国基準,国際会計基準,日本基準の比較を中心にー |
要旨 |
中田清 |
固定資産の減損会計に関する一考察
ー日本基準,米国基準,国際会計基準の比較を通じてー |
要旨 |
中田清 |
のれんの会計処理に関する一考察
ーのれんの償却説と非償却説の検討ー |
要旨 |
中田清 |
のれんの「規制償却と減損」に関する研究 |
要旨 |
山崎敦俊 |
わが国のリース会計基準に関する一考察
ー借手の会計処理を焦点に- |
要旨 |
山崎敦俊 |
2018年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
コカ・コーラの競争戦略
ー商品開発戦略を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
日中自動車メーカーの競争戦略
ー自動車のEV化を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
経営戦略からみたユニクロとZARAの比較分析
ー中国市場への進出を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
研究開発費の会計処理に関する一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
包括利益に関する一考察
ーリサイクリングの可否を中心にー |
要旨 |
中田清 |
退職給付会計の課題と展望 |
要旨 |
政岡孝宏 |
2017年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
資生堂のグローバル・マルチブランド戦略
ー中国市場の開拓を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
不動産関連の多国籍企業に関する研究
ーベトナムにおける日系不動産企業の事例を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
セブンイレブンの競争戦略
ー中国進出における戦略を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
原価企画に関する一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
バランスト・スコアカードに関する一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
固定資産の減損損失の測定方法に関する一考察
ーアメリカ基準,国際会計基準,日本基準を比較してー |
要旨 |
中田清 |
リース会計に関する一考察
ー財産使用権アプローチの観点からー |
要旨 |
中田清 |
2016年度
題目 |
要旨 |
指導教員 |
ネットショップの経営形態
ー日中の比較研究ー |
要旨 |
大塚健司 |
中国市場における自動車メーカーの競争戦略
ーエコカー開発を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
中国におけるネット通販市場に関する研究
ープラットフォーム戦略を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
中国における日系企業の人的資源管理について
ー多国籍内部労働市場理論の視点からー |
要旨 |
米田邦彦 |
中国におけるインターネット通信販売市場に関する研究 |
要旨 |
米田邦彦 |
ユニクロの競争戦略
ー中国進出における競争戦略を中心にー |
要旨 |
米田邦彦 |
高等学校教科「商業」の管理会計教育に関する一考察 |
要旨 |
陳豊隆 |
新しい原価管理手法に関する一考察
ー活動基準原価計算を中心にー |
要旨 |
陳豊隆 |
企業会計と財務会計における収益認識に関する一考察 |
要旨 |
中田清 |
確定決算主義に関する一考察
ー中小企業における今後のあり方を中心にしてー |
要旨 |
中田清 |
要旨
本論文は、我が国における研究開発に関する支出の会計処理をテーマにしており、費用処理と資産認識のどちらの方法が妥当であるか考察を行っている。ここでは、資産概念や各国の会計処理の動向を踏まえた上で、研究開発に関する支出は資産として認識することが望ましいが、将来の収益獲得という側面から見て、研究開発に関する支出は研究局面に係る支出を費用として処理し、開発局面に係る支出を資産として認識することが妥当であるという結論を導き出している。
要旨
本論文は、自動車部品メーカーにおける戦略的人的資源管理のプロセスについて考察したものである。これまでの人的資源管理に関する文献だけではなく、サービス・マーケティングの視点から分析枠組みを構築し、事例研究を通じた研究を展開している。採用から評価・処遇に至るまで、経営理念や戦略と整合した人的資源管理の重要性を指摘している。戦略や組織だけではなく、従業員の意識の変革が不可欠であると結論づけられている。
要旨
減損会計における回収可能価額の妥当性をテーマとして、正味売却価額の有効性と使用価値に内包する問題点を経営者の恣意性の介入の余地という側面から考察をしている。正味売却価額の有効性については、棚卸資産評価会計との整合性から明らかにし、使用価値については経営者の恣意性が極力排除された算定方法の確立を求めることにより、回収可能価額が投資家にとって有用な情報を提供するという財務報告の目的により近づいた姿になるという結論を導き出している。
要旨
わが国のリース会計基準に係る新たな開発の方向性をテーマに据え、リスク・経済価値モデルを採用するわが国の現行基準の問題点を明確にしたうえで、使用権モデルを用いているIFRSと米国のリース会計基準制定に係る論拠を考察している。また、IFRSと米国では費用測定の手法を異にする点から、各々のリース会計基準の比較検討を行い、加えて使用権資産の償却性を論点とし、シングル・アプローチに準拠すべきであるという結論を導き出している。
要旨
リース会計の借手の会計処理をテーマにした論文であり、オペレーティング・リース取引のオンバランス化の必要性を明確化するとともに、IFRS第16号とTopic842においてダイバージェンスした事項である事後測定について、「シングル・アプローチ」と「デュアル・アプローチ」のどちらを採用するべきかを考察している。ここではオペレーティング・リース取引の事後測定における会計処理の合理性やASBJの動向を踏まえた上で、シングル・アプローチの採用にまで論究している。
要旨
現在の中国企業におけるホワイトカラー層の人的資源管理をテーマにしている。中国経済政策の変遷を歴史的に考察したのち、20歳代後半の大卒・大学院卒の中国人男女10名、いわゆるホワイトカラー層に焦点を当て、勤務先企業の人的資源管理について個別にインタビューしている。この調査を踏まえて、国有企業・民営企業・外資企業の人的資源管理の特徴と課題を整理・分析し、現在の国際化・専門化・知識創造時代を鑑み、人材の採用、教育訓練、定着性について注目し論考している。
要旨
本論文は、キャッシュレス化が経済にどのような影響を与えるかについての考察を行いつつ、その意義および課題を探求する。まずは貨幣の進化過程を考察し、日中のキャッシュレス化の現状を分析し、相違点を明らかにする。次に中国のデジタル経済のケーススタディを通して、キャッシュレス化がもたらす経済効果と課題を考察する。最後に中銀デジタル通貨の設計についての論点を整理し、展望と課題について論述したものである。
要旨
本論文は、中国の生鮮食料品流通構造の変化とその中で成長を続ける永輝超市の戦略等を明らかした。改革開放前後以降の流通構造変化をふまえた上で、永輝超市にみる生鮮小売業の展開の新規性として、①伝統的市場の長所である多種類の生鮮食料品取扱と価格低位性を維持しながらも近代的な売場を構成するという中国における新たな小売店舗づくりや商品構成を生み出した点、②コト消費型店舗やモバイル店舗等「新小売」としての積極的なOMO展開を指摘した。
要旨
飛躍的な経済発展を遂げた中国における巨大商業銀行の多国籍銀行活動に関して、中世以降の世界の多国籍銀行の歴史をたどり、日本のメガバンクや欧米の主要多国籍銀行のビジネスモデルと比較しながら,その特徴をまとめたものである。中国国有商業銀行のアニュアルレポートや財務諸表を丹念に調べながら、とりわけROAおよびROEが欧米や日本と比べて遙かに高いパフォーマンスを維持していることを述べる。そして、中国の国有銀行が、巨大な資産規模を活かしながら、近年の一帯一路構想とリンクさせて今後海外活動を積極的に拡大していくことを展望している。
要旨
本論文は、地方都市の中央卸売市場の今日的な存在意義を、都市近郊農業の出荷構造の視点から明らかにすることを目的とした。その結果、地方都市の中央卸売市場では青果物の取扱量が停滞し大都市中央卸売市場との格差がより鮮明化しつつも、①「受託拒否の禁止」原則により、保存期間が短くかつ単価が高い野菜等を生産している都市近郊農業に安定的な販路を提供していること、②直売所等市場外流通青果物の取引にとっても建値市場として重要な存在であることを明らかにした。
要旨
中国経済の発展に伴って拡大する人民元の国際化について、国際通貨体制の歴史を振り返りながら、国際通貨の機能面から人民元使用の現状を見た論文である。基軸通貨ポンド、ドルの歴史から説き起こし、近年における中国の貿易収支黒字と貿易取引通貨としての人民元の使用、また金融市場および金融取引の規制と投資通貨としての現状など、まずファンダメンタルズの分析を踏まえて展開を試みる。そして、IMFによるバスケット通貨SDRへの構成通貨としての認定など、中国の外交政策や経済政策面も加味しながら、人民元国際化を多面的に分析した。
要旨
中国の中小企業の実態を解明しながら、中小企業の資金調達問題に関して国や金融機関の対応について分析した。中国の中小企業は、国有商業銀行や株式銀行など主要貸出金融機関からの融資が得られにくい。そこで民間金融、都市商業銀行、地方銀行などによる多様な銀行融資、株式市場からの資金調達、さらにインターネット金融やクラウドファンディングの活用など、さまざまな金融組織や制度が利用されている。ここから中国中小企業の資金不足問題の緩和のために、有力な民間金融会社の段階的な民営銀行への発展や、公的金融セクターの強化が必要であると説いた。
要旨
変化の激しいアジアにおける金融機関の競争構造を、日本の3大メガバンクの活動に焦点を当てて実証しようとした論文である。3大メガバンクがアジア各国に支店や現地法人を開設して、日系や非日系企業と業務提携し、企業の進出支援や資金支援などの取引を行っていること、また地場銀行の買収を通じて顧客基盤を拡大させていることなどを、各行の決算書などからまず概観する。そして、外国銀行との貸出市場での競争が激化するにつれて直面する、海外与信管理リスクと外貨流動性管理リスクを克服することが日本のメガバンクの課題となっていることを主張した。
要旨
中国に日系のコンビニは進出している。セブン-イレブンは日本の経営方式を導入したが、中国進出してから、17年が経過するが、思ったほど店舗展開ができていない。それはなぜなのかについて、この論文で分析した。セブン-イレブンは中国でコンビニのフォーマットを作ろうとして改善しているが、店舗数は伸びていない。その理由として、店舗が増え、販売数量が増えないと独自商品開発をしても高コストになるのではないかと結論づけた。
要旨
本論文は4Ps理論を分析の理論的枠組みとして、資生堂の製品戦略、価格設定、特に販売チャネル(流通経路)の分析を通じて、資生堂の中国でのマーケティング活働におけるマーケティング戦略の成功点と不足点を分析して、主要な問題を提案し、国際マーケティングでの現地化戦略か標準化戦略かという区分を融合させて資生堂の中国での戦略を明らかにする。さらに、資生堂中国での中国市場環境の発展に適してまた自身の企業のブランドの発展に適する将来を展望する。
要旨
本論文では、完成車メーカーと部品メーカーの企業間関係がどのように変わるかを分析する。自動車産業がEV化すると、エンジン部品等が不要になり構成部品点数が減少する。事例として、トヨタとデンソー、パナソニック、BYDとの企業間関係をまとめ、自動車産業がEVによってどのように業界構造が変化するかをファイブフォース分析から、また中間組織論から自動車メーカーと部品メーカーの新たな関係が生み出されていると結論づけた。
要旨
有形固定資産の減損と減価償却をテーマにして、固定資産の取得から除却までの固定資産のライフサイクルの視点から、わが国の固定資産のそれぞれの会計処理を会計的整合性の有無について考察している。諸外国の固定資産についての各会計基準の検証も行い、「減損の戻入れ」の適用と「会計上の見積り変更」の積極的な活用が、わが国におけるライフサイクルの視点で会計的整合性を求めることができるという結論を導き出している。
要旨
本論文では、諸先行研究資料を踏まえて、原価計算の歴史からそれぞれの時代背景の生産環境を分析した上で、マイケル・ポーター教授が提唱した価値連鎖に焦点を当てて、1980年代の後半に登場した活動基準原価計算、活動基準原価管理、時間主導型活動基準原価計算との関連分析を行うと同時に、現行制度として実施されている「原価計算基準」の枠組から、その活動基準原価計算が果たして適用可能かを究明した上、「原価計算基準」の改訂の必要性を考察したものである。
要旨
本論文は中国における日系企業の経営現地化の問題点を明らかにすることを目的としている。多くの日系企業が現地の優秀な人材確保に苦労しており、中国の大学生就職人気ランキングから日系企業があまり人気がないことを示す。また、就職に際して何を重視しているかのデータから日系企業の問題点を指摘している。その中で、事例として成都イトーヨカードとイオン中国の人材育成の現地化状況を分析し、優秀な人材を確保するために必要なことを明らかにしている。
要旨
本論文は、ポイント・プログラム(PP)の会計処理とその課題について検討したものである。本論文では、まずPPの実態について、その発展経緯とそれぞれの内容を整理した。次に企業会計基準第29号公表前後のPPの発行側の会計処理について明らかにした。その上で、現行のPPの会計処理の抱える問題点について、ポイント発行側について2点指摘するとともにポイント取得側の会計処理が不存在である点を指摘し、それらの解決策についての私見を述べた。
要旨
のれんの事後的な会計処理をテーマにして、のれんの本質や自己創設のれんに触れつつ、「償却および減損アプローチ」と「減損のみアプローチ」のどちらをのれんの事後的な会計処理として採用すべきかを明らかにしている。ここでは伝統的のれん概念と近代的のれん概念、日本基準、米国基準、IFRSについて触れつつ、終局的にのれんを毎期償却する「償却および減損アプローチ」を採用することを結論として導き出している。
要旨
ユニクロのグローバル展開が世界的に進んでいるが、特に中国において成長していることを指摘し、ユニクロが中国で成功した要因を(1)ブランディング、(2)ユニークな商品、(3)デジタルマーケティングによるEC事業の拡大、(4)出店戦略の成功、(5)売り場の雰囲気の5つに分けて論じている。とくにデジタルマーケティングに関連してSNSマーケティングの中国における発展が日本より進んでおり、それがユニクロの現地化によるものであると結論づけている。
要旨
財政再建のために医療費抑制、規制緩和の波が病院を大きく揺さぶる中、病院を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。今後は、病院経営を環境に合わせて再構築できた病院のみが生き残れるという状況になりつつある。病院経営の再構築には、病院の状況を的確に把握するために欠かせないツールとして「病院原価計算」が注目されている。本論文は、様々な先行研究を踏まえて、病院の経営環境を考察した上で、病院原価計算の目的や病院における原価計算体系、計算方法などの究明を試み、病院の経営戦略を策定するために不可欠となる原価計算手法を考察したものである。
要旨
近年の会計基準設定を主導する世界的な理念は、収益費用アプローチから資産負債アプローチへと移行しつつある。これまで長らく収益費用アプローチに立脚した収益認識もとうとうその改革の波に飲み込まれた。2018年3月、新しい「収益認識基準」が公表された。トップラインである収益が変わることによって、日本の会計制度は大きな変容の時期を迎えている。本論文は、種々の先行研究を踏まえて、引当金の本質をそれぞれの時代背景を考察した上で、IFRSと米国の会計制度における収益の本質を、収益費用アプローチ及び資産負債アプローチを用いて、その変遷を究明し、収益認識基準における負債性引当金の会計処理の妥当性を試みたものである。
要旨
本論文は、退職給付会計について、現行日本基準の課題を見出し、その改善を提案したものである。課題の1つは、退職給付債務概念に関するものである。これは①受給権確定部分、②受給権未確定部分、③将来の昇給部分の3つから構成されるが、今後終身雇用制度が崩壊し従業員勤労の継続性が失われると、前記③は概念フレーム・ワーク上の負債の定義を満たさなくなる可能性がある。また、数理計算上の差異および過去勤務費用は日本基準では、国際会計基準とは異なり遅延認識または即時認識が行われる。ただし即時認識の方法は国際会計基準と異なっており、これへのコンバージェンスの必要性が説かれている。
要旨
本論文では、現行のわが国減損会計基準に見られる問題点が指摘され、米国基準・国際会計基準における減損会計処理との比較を通じて、わが国のあるべき減損会計基準が模索されている。その結果、日本基準には、「会計上の変更及び過去の誤謬の訂正に関する会計基準」(2009年)が公表され臨時償却が廃止されたことにより、減損処理に整合性の欠如が見られるようになったこと、減損処理後に戻入れを行うべきか否かについて今一度考え直す必要があること、という2つの問題点が存在することを指摘した。そして前者については、包括利益の考え方を取り入れること、後者については、一定の制限を加えつつ戻入れを行うことで、問題点の解決を図ることができることを見出した。
要旨
近年、実務では国境を越えて大型のM&A(合併・買収)が活発に行われており、それに伴って巨額ののれんが発生している。本論文はのれんについて、歴史を遡ってさまざまな主張を整理することにより、その資産性を確認し、資産計上後の会計処理のあり方について考察したものである。会計処理について、償却説、非償却説それぞれの根拠について言及し、とりわけ自己創設のれんの計上を回避することができる点で規則的償却が優れていると指摘する。現在、国際会計基準審議会では、規則償却を行わず、減損処理のみを行う現行の国際会計基準について、規則償却導入の是非が議論されている。本論文は、それに対する1つの考え方を示すものである。
要旨
のれんの会計処理をテーマにした論文であり、昨今の「のれん減損サプライズ」の状況からの問題提起を行っている。ここでは「規則償却と減損」を行うことを論文の主眼にすえて、定期的な減損テストに加えて、のれんの規則的な償却を行うことにより、のれんの適正な帳簿価額が維持され、将来の業績悪化による一時の巨額な減損損失の発生による経営成績の悪化を阻止することが可能となるものという結論を導き出している。
要旨
わが国のリース会計(オンバランス化)の方向性をテーマにした論文であり、IFRSおよび米国のリース会計基準をそれぞれ比較した上で、ストックの認識に関するコンバージェンスがどのように達成され、費用測定についてはなぜ異なるルールが選択されたかを整理している。特に借手における費用測定のアプローチに焦点をあて、オペレーティング・リースの経済的実態を鑑みて、デュアル・アプローチの採用について論究している。
要旨
本論文はコカ・コーラの競争戦略を、ポーターの競争戦略論とバーニーのVRIOの理論を使って、なぜコカ・コーラは競争力を維持しているのかを分析している。コーラ以外の派生商品の多様な商品開発から差別化戦略、VRIOフレームワークからコーラ原液の希少性や模倣困難性とボトリングシステムから組織の強みを特徴としてあげている。さらに日本コカ・コーラの自主商品開発のコーヒー、茶系飲料などの商品開発戦略について分析している。
要旨
本論文は世界の自動車産業がガソリン、ディーゼル車からEVへのシフトが急速に進みつつある現状について、日中の自動車メーカー、部品メーカーがどのように対応し変化しているのかを明らかにする。分析の方法として、ポーターの付加価値連鎖を1企業内ではなく、完成車メーカーと部品メーカーを組み合わせて付加価値連鎖の主活動のうち技術開発、調達の2つでEV化によって大きく変化すると結論づけている。
要旨
本論文はファストファッションの代表的な企業であるユニクロとZARAについてその特徴と海外進出戦略を比較分析している。中国市場への進出については、一級都市、新一級都市、二級都市など中国の都市レベルに対応してユニクロとZARAの出店戦略を比較し、ユニクロの出店数が多いこと、二級都市とはいえ、人口は200万人から1千万人と大都市であるにもかかわらずまだまだ出店の余地があることを分析している。
要旨
企業が持続的発展を継続していくために、絶えざる技術革新による研究開発を行い、他社より付加価値の高い製品やサービスを提供しておく必要がある。これらの研究開発投資行動は、企業の存続のため、創造力向上の生命線であり、将来にわたり利益を出し続けるための源泉でもある。言い換えれば、研究開発費に関する会計処理のいかんによって、企業の財政状況および経営成績にも莫大な影響を及ぼすと考えられる。本論文は、色々な先行研究を踏まえて、資産の本質をそれぞれの時代背景を考察した上で、各国の会計制度から研究開発費の資産計上と費用計上としての妥当性や問題点などの究明を試みたものである。
要旨
本論文は、包括利益について、特にそれを構成する「その他の包括利益」が実現した場合に、リサイクリング(当期純利益への組替調整)をすべきであるか否かを中心に考察したものである。国際会計基準では、個別の会計基準においてその他の包括利益がリサイクリングされるべきか否かが規定されており、そこにはリサイクリングされない項目も存在している。しかし、投資意思決定への有用性および利害調整への役立ちの点から、当期純利益の表示、すなわちリサイクリングが必要であることが結論として導き出されている。
要旨
本論文は、日本の退職給付会計制度の現状と課題、今後のあり方について検討したものである。本論文では、まず日本の退職給付制度、会計基準の成立経緯を概観し、特に重要性の高い1998年基準の内容を明らかにした。その上で、日本基準に強い影響を与えてきたIAS第19号とSFAS第87号の内容について整理し、両基準と日本基準で処理が異なる項目のうち、割引率と退職給付見込額の期間配分方法の2点に焦点を当てて、それらの差異および影響について検討した。
要旨
本論文では資生堂は中国市場に早期に参入でき、ブランド力をもっているが、欧米韓の化粧品メーカーの攻勢により競争が激しくなっている。それに対抗するための戦略を分析している。資生堂のブランド戦略を6つに分けて特徴を述べ、世界の地域ごとに販売するブランドが異なっているという特徴を述べる。特に中国市場では、現地で研究開発を行い、中国独自の商品開発を行うと同時に日本ブランドも生かしながら現地市場の変化に対応していると結論づけている。
要旨
本論文では不動産関連企業の海外進出が、製造業やサービス業とは異なることを明らかにしている。ポーターの「付加価値連鎖」の概念を利用し、製造業やサービス業と異なり、不動産関連企業の付加価値連鎖では、支援活動では、受注業者、企画設計会社などにわかれ、主活動も、不動産投資を行う会社、資材・設備提供業者、工事監督、不動産販売、その後のメンテナンスサービスを行う会社などが協力してプロジェクトを行うという特徴を述べている。
要旨
本論文ではセブン-イレブンは、商品開発力、物流システムの構築、変化対応力、出店ドミナント方式などの特徴で競争優位性を保っていること。さらにグローバル戦略を進める中で、日本国内市場と海外市場の違いを現地適応と変化対応力で克服しようとしている。今後大きく拡大する中国市場の役割が大きいが中国でも北京と上海では進出戦略を変えており、それが成功するかどうかまだわからないと述べている。
要旨
1973年の石油危機以降、さらに1980年代初頭から本格化した工場の自動化は、生産段階における直接工を大幅に削減させ、いままで原価管理の手段として使われてきた標準原価計算の役割が低下した。その結果、日本の主要企業では、生産の上流、すなわち製品の企画・設計段階での原価低減に焦点を移行した。そこで注目されているのは原価企画という管理会計技法である。本論文は、種々の先行研究を踏まえて、原価企画の歴史からそれぞれの時代背景を分析した上で、競争戦略の視点から原価企画の本質、問題点などの究明を試みたものである。
要旨
グローバル化が進み、競争が激化すればするほど、企業は戦略を無視できなくなってきた。戦略ツールとして注目されているのは、1992年にキャプランとノートンによって提案されたバランスト・スコアカードである。本論文は、種々の先行研究を踏まえて、投資利益率を用いた伝統的な業績評価システムの問題点として、短期的な利益を強調するため、経営管理者は近視眼的な経営行動を促す傾向があると指摘し、バランスト・スコアカードとはいったい何のことか、企業はなぜバランスト・スコアカードを導入する必要があるのか、バランスト・スコアカード導入の成果ないしメリットは何か、バランスト・スコアカードをいかに導入すべきかを究明したものである。
要旨
本論文は、固定資産の減損損失の測定方法に関して、客観性の観点から考察を試みたものである。減損損失の測定方法として、アメリカの会計基準では公正価値、国際会計基準および日本の会計基準では回収可能価額(使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額)が採用されている。これら3つの測定方法の特徴、客観性からみた問題点を指摘し、あるべき測定方法として正味売却価額を提示した。
要旨
本論文は、リース取引の会計処理の変遷を綿密に論じたあと、リース資産のオンバランスの根拠について、特に新リース会計基準(米国基準 ASC Tpoic 842、国際会計基準 IFRS16)で採用された財産使用権アプローチを考察したものである。そして、日本基準で採用されているリスク・経済価値アプローチには、リース取引を利用する企業によるオンバランス化回避行動を可能にするという問題点が見られるので、財務構成要素アプローチの採用を検討することが必要であると述べている。
要旨
世界一の人口を誇る中国では2016年6月の統計によると、インターネット利用者がアメリカを超えて世界最大規模となっている。本論文では中国と日本の大手ネット通販ショップを例として取り挙げながら、「ネットショップの経営形態」「日中インターネットの発展状況」「インターネット通販市場」「インターネット通販による日本企業の中国市場への参入」「インターネット通販の課題と展望」の5つの視点から論述するものである。
要旨
エコカーに関する中国政府の政策を時系列で細かく整理し、その問題点も指摘しながら、ポーターの競争戦略論におけるファイブフォース分析を中国エコカー市場にあてはめて分析している。この分析から、ブランド力のアップ、研究開発、市場開拓、アフター市場拡張とサービス改善の4つの戦略の重要性を述べ、そのうち、研究開発力は、自動車メーカーにとってエコカー開発で生き残るために最も重要であると結論づけている。
要旨
本論文は、現在急速に拡大しているネット通販について、プラットフォーム戦略を中心に中国におけるネット通販市場について考察している。モバイルユーザーの増加と決済サービスの普及によってネット通販が急速に拡大しているが、課題として商品配送と商品の品質の問題があるとする。しかし、2014年に「消費者検疫保護法」が制定され消費者保護が進み、中国のネット通販は発展すると結論づけている。
要旨
本論文は中国における日系企業の経営現地化の問題点をアメリカ系企業の経営現地化との比較することで明らかにすることを目的としている。米国企業と日本企業の中国現地法人の社長を比較し、米国系企業の社長がほとんど中国人であるのに対し日系企業の社長がほとんど日本人であり、日系企業の経営現地化が遅れており、優秀な人材の採用、確保に課題があると結論づけている。
要旨
本論文は中国におけるインターネットの利用状況やネット環境の現状把握から、将来の中国におけるネット通販市場の発展及び問題を指摘し、現在インターネットを応用して、中国消費市場に向けたビジネス活動を行っている日本企業の経営状況を分析している。特に越境ECについて日本企業の実例を紹介しながらその仕組み、特徴を分析している。中国におけるインターネット通信販売は成長の余地は大きいが、物流、決済を含む信用、関税等について課題があると結論づけている。
要旨
ユニクロがなぜ成長を続け、好業績を残すことができるのかについて、ポーターの競争戦略におけるリーダーシップ戦略と差別化戦略を併用して成長したと分析している。また当初失敗した欧米での戦略として、大都市中心部に巨大店舗を置くフラッグシップショップ戦略によりブランド構築ができたこと、それが中国の上海でも成功し、価格競争から抜け出し、ブランドの差別化に成功したため、中国が大きな市場となっていると結論づけている。
要旨
本論文は、次期学習指導要領の改訂に向けた内容を踏まえて、これからの会計教育の一考察として、「地場の中小企業は経営意思決定に生かされる会計情報を求めているのではないか」という仮説に対して、実態調査に基づいて分析・検証している。そして、その結果から、高等学校教科「商業」において、問題を発見し、解決する力の伸長や「判断力」、「意思決定力」の育成に向けた「管理会計教育」が効果的に発揮することを理論付け、今後の商業教育に向けて提言することを目的としている。
要旨
近年消費者嗜好の多様化に伴って、企業も少品種大量生産から多品種変量生産へと生産環境を変えざるを得なかった。企業環境の激変により十九世紀の初頭に開発された伝統的な原価計算の目的適合性が喪失し、新しい原価管理手法が次々と生まれた。本論文では、諸先行研究資料を踏まえて、原価計算の歴史からそれぞれの時代背景の生産環境を分析した上で、1980年代の後半に登場した活動基準原価計算に焦点を当てると同時に、活動基準原価計算が果たして「原価計算基準」への適用は可能であるかを究明し、「原価計算基準」への改訂の必要性を考察したものである。
要旨
国際会計基準審議会(IASB)は、2014年5月にIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を公表した。本論文では、国際会計基準へのコンバージェンスを目指しているわが国において、将来的に、IFRS第15号に沿った会計基準が設定された場合、法人税法上の課税所得計算はどのような影響を受けるかについて論じた。IFRS第15号の特徴は見積りの要素を含んでいる点にあり、これが課税の公平性を損なわないか否か、さまざまな事例を挙げ、慎重に検討する必要があることを結論として導き出している。
要旨
本論文は確定決算主義・損金経理の今後のあり方を、特に中小企業の視点から論じたものである。損金経理を包含する確定決算主義は中小企業・非公開会社にとっては不可欠であるが、利害関係者の意思決定に対する有用な情報提供を重視する大企業・公開会社にあっては損金経理は廃止されるべきであること、また中小企業に関してはイギリスで行われているようにそれを規模に応じて細分化し、企業規模別に適用されるべき会計基準を明確化すること、そしてその会計基準の中に現在損金経理が求められている事項を盛り込むことを提案している。
