1.悪質商法の定義

 

 よく、「悪質商法とは何ですか?」という質問を受けます。悪質商法とは何か、についての講学上の定義(学問的な定義や大学の講座における定義のこと)はありませんが、私柏木は次のように考えています。

 「悪質商法とは、消費者に威迫・困惑を与えたり、重要な事実を包み隠したり、あるいは欺瞞に満ちた方法で
心理操作をすることによって契約を締結させ、消費者に損害を与える行為である。」

 つまり、消費者を騙したり、重要なことを包み隠したり、脅したり混乱させることによって勧誘・契約させることを言います。

  

 更に、マーケティングや経営を学んでいる人がたまに「客に不利なことを言わずに誘うのが販売だ」とか、「混乱や洗脳はマーケティングではよくあることだ」という人がいますが、こんなものは論外です。

 企業が儲けるためなら何をやっても構わないというものではありません。企業には社会的責任というものがありますし、社会的責任論に否定的なM・フリードマンですら「ごまかしを使わずにゲームのルールを破らないで株主のために多くの利益を上げることが経営者の責任」と言っています。

 マーケティングの正しい考え方は、「売れるモノをいかに提供するかといった創意工夫(=マーケット・イン)」です。過去には高圧的なマーケティングや資本力まかせのマーケティングが展開された形跡はありますが、それは社会的信用の失墜を招いたり、コンシューマリズムの反発を受けますので、今日こんなことを言っていては客にそっぽを向かれるのは必至です。

 混乱や洗脳なんてものは、もはやマーケティングではありません。上の定義に該当する行為なら、もはやマーケティングではありませんし、セールスでもありません。立派な悪質商法です。


2.悪質商法のパターン

 悪質商法は、心のスキマ、法のスキマをついてきます。しかも、ウィルスの如く次から次へと発生するものできりがありません。
でも、心のスキマ、法のスキマを突くというのが基本であることが解れば、ある程度傾向もつかめます。

 なお、実際にはどれか1つに当てはまるものではなく、各パターンを複合させてくることが多いです。
ちなみに、マルチ商法は全部あてはまっています

@判断力の鈍った人、知識のない人を狙う

 未成年者、高齢者を狙う手口に多いが、無知なら狙いやすいと言う点で、悪質商法の常套手段。

A判断力を低下させてから狙う

 SF商法(催眠商法)、振り込め詐欺、アンケート商法などに見られる。相手がしっかりしていて狙いにくい人だとあらば、
胡散臭さを消すべくこの方法を展開することも多い。

B不安につけ込む

 架空債権、振り込め詐欺、開運霊感商法、点検商法・悪質リフォーム、デート商法などに見られるが、これも悪質商法の常套手段。

C道楽心、利得につけ込む

 ねずみ講的マネーゲーム、利殖商法、内職商法、無料おとり商法、当選商法などに見られる。

Dスケベ心につけこむ

 デート商法、出会い系サイトなどに見られる。

E名誉欲、ハッタリにつけこむ

 カタリ商法(制服商法)、紳士録詐欺、資格商法(士商法)などに見られる。


3.悪質商法にかかりやすいタイプ

@頼まれたら断れない、お人好し

 このタイプは、セールスマンの押しに負けてしまいやすかったり、勧誘してくる人が友達だったら、中身を考えずについ引き受けてしまい易い一面があります。
また、このタイプの人は親切を偽装して迫る詐欺師に騙されていることが分からなかったり、誰かを助けようとしてミイラ取りがミイラになってしまう面もあります。


A誰にも相談せず、自分の中に背負いこみがちだ

 このタイプは、全てを自分一人で処理しようとしたり、知られたくないから誰かに相談しないで即決してお金を払ってしまう事が多々あります。近年の手口はここが狙い目です。振り込め詐欺のように、パニックにさせて、即決させてカネを出させる手口にかかり易いでやすいでしょう。


B自分は無知だ、世間知らずな方だ

 何も知らない、というのは絶好の標的。また、あまり世間の厳しさを知らない人、学校を卒業したての人や、田舎から上京したての人も狙われます。

Cカッコいい人・かわいい人には疑いなく気を許す
 
 外観のよさ、かわいさに惑わされ、隠されたワナや実態が見えずに騙されてしまうことがあります。

D信仰深い

 この人は、「因縁」とか「祟り」とかでつけこむ開運霊感商法や新興宗教のマインドコントロールなどに惑わされることが多いです。

E先行き不安だ(自信が持てない人も同じ)

 この人は、自分の状態や未来に不安を持っています。悪質商法のほとんどは「不安に付け込んで迫る」パターンです。ゆえに、悪質商法にかなりかかりやすく、要注意です。特に、資格商法、内職商法、開運霊感商法、デート商法、結婚紹介詐欺などにかかりやすいです。

F寂しがり

 話し相手や友達ができることを求めて、悪質なマルチ商法や新興宗教のグループに入ったりすることが考えられます。
また、独りぐらしの高齢者の場合は、話し相手がいないことで、親切を装って近づいてくるセールスマンがその相手になってくれれば安心して相手のツボにはまってしまうことが多々あります。

G楽して得したい

 この人は、悪質マルチ商法、内職商法などの「誰でも月に100万円」などというようなあまりにも巧すぎる話に惑わされたり、飛びついたりしやすいです。
道楽心に付け込むのは悪質業者の常套手段です。

H人任せ

 何でも人任せな人は「それはすべて親(女房のすることで、私は知らない」と言って相手の出方や契約書の内容をよく見ない点で警戒心に欠けています。
悪質業者は、この状態も突いてきます。

I無頓着(例:家の片づけをしない)

 面倒だ、たいぎー、と言って説明を聞かず、相手の言う通り何でもしてしまいやすくなります。更に、自分の身の回りが分かっていないということで
自分がいつの間にか騙されている、というのが分からなくなる所もあります。

J自信過剰

 己を過信して中身を確かめなくなりやすくなります。自分に限ってかかる訳がない、とタカをくくるのはかなり危険です。心の隙がある状態です。
悪質業者はそこを突いてきますし、我々の思う以上にずるがしこいのが彼らです。「油断大敵・常に警戒せよ」、これが鉄則です。

★ちなみに、1つも当てはまらないという人はまずいません。それは、Jの「自信過剰」な人です。

悪質商法防止の鉄則は、「弱気と慢心は最大の敵!」です。具体的には、次の点です。

●「結構です」はダメ! はっきりと「要りません」と断ること

●相談するのも勇気。 何事も自分一人の中に背負い込まないで! 泣き寝入りしないで!

●自分だけは絶対大丈夫だと思わないこと

●常に警戒すること

●相手の出方、契約書には注意深く挑むこと

●腕力、口ゲンカに自信があっても、言いくるめてやろう、どついたろうと思わない事。

●うさんくさい、要らないと思ったら相手にせず、逃げるが勝ち

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